閉店と開店を繰り返す下北沢(その3)
このシリーズの1~3の最終話となります。
歩く人々は、オープンするお店には敏感ですが、閉店する店の記憶は早くに消えてゆく。
お店が閉店となっても、そこには新しいお店がすぐに誕生します。
街全体は変わらずに活気を損なうこともありません。だから、下北沢の開店、閉店の早いローテーションに人は馴れています。この内情を把握しているのは、地域の不動産屋さんと僕らのような裏方(広告業)となりますが、不動産屋さんは賃貸の仲介をするのが仕事ですから、お店の出入りが多いのは大歓迎ではないでしょうか。
行列ができているお店なのに閉店するパターン。
外から見るといっけん人気店に見えるのに閉店となる場合があります。この原因はいろいろと考えられますが、1つに店舗のオペレーションやマーチャンダイジングが、下北沢の地域特性とあっていないことなどがあります。
では、もう一度下北沢の地域特性をまとめてみます。
- 富裕層はそこそこ多い
- お金を使う街ではなく歩いて楽しむ街
- 若者が多い
- 舞台俳優、ミュージシャンも多い
- 芸能人、有名人のお気に入りの店が多数存在する
これを原宿、表参道といった2つのエリアと比較してみると、原宿よりは年齢層は少し高め、表参道とは人のタイプが違う。この2つのエリアは、いずれも若者が多く下北沢との共通点でもありますが、決定的な違いは「生活感があるか、ないか」だと思います。私のいぜんの職場が、原宿にあったので、毎日、原宿を歩いていたのですが、ここでは生活イメージを感じませんでしたが下北沢では生活イメージを強く感じるのです。
結局、下北沢はどんな店がうけるの?
観光地にある屋台的なお店は、商品力とメディアパワーがあれば一時的には繁盛しますが、生活に密着したお店のほうが生存率が高いのです。飲み屋、餃子の王将、定食屋、美容院さんなどがこの地域での強い部類の業種です。これらは高級志向のお店ではなく、アットホームな雰囲気、居心地の良い店のほうがうけやすい傾向にあるようです。
「お店をリニューアルをして綺麗にしたらお客さんの入りが悪くなった。」これは実際にあった話しですが下北沢ならではじゃないでしょうか。
これまでの話しはすべての店が該当するわけではありません。リニューアルをして成功しているお店もありますし、きっと、これからも私の想像できない新形態のお店で成功をするお店もあるでしょう。しかし、これから出店をお考えの方は参考にしてみてはいかがでしょうか。ここを軸にしっかり商圏分析をしていくことで、もっと詳細な真実がみえてくるはずです。